代表メッセージ

【世界はどこへ】

  世界は第二次世界大戦後、戦争の大きな原因となった保護貿易という「国家の利己主義」を排除することで、戦禍に至る覆轍を回避しようと、最大限の努力をしてきました。しかし近年その反省をよそに、保護貿易の動きが復活してきたような報道が続きます。ロシアや中国のように、貿易を国家戦略の一環と考えている大国だけではなく、アジア・アフリカ・中南米の発展途上国も資源ナショナリズムを強め、「自由貿易はすでに死んだ」と言われるまでに後退しているようです。彼らは資源の囲い 込みや保護貿易が何を生み出したのかもう忘れてしまったのでしょうか。

【「ジャングルの掟」社会の再到来?】

  2年前の2月にロシアが国際法を無視して一方的に主権国家であるウクライナに侵攻し、今度は中東で、イスラエルとイスラム組織ハマスが、民間人を巻き込んだ大規模な紛争(戦争)を続けています。攻撃を開始したのがハマスという理由で、イスラエルは国際法を恣意的に解釈して、大量の民間人の殺戮を放置しています。法の支配する世界はどこに行ったのでしょうか。 
 ただ、第二次世界大戦中に国際法違反を犯しているアメリカやイギリスが、戦後に自らの罪過をスルーして今日に至っていることを考えれば、ロシアや中国だけが批判されるのもおかしいことかも知れません。その「スルー」の上につくられた国際連合は、当然と言えば当然ですが、拒否権を持つ安全保障理事会の常任理事国に対してはほぼ無力で、また国連に代わってロシアや中国などの常任理事国に対し暴挙を諫止し理非曲直を正せる組織もなく、このままでは「ジャングルの掟」が支配する、強いもの優位の世界が再び出現しそうな状況です。日本の周りは核兵器保有国だらけですから、もう我々はジャングルの中にいるのかも知れません。

【今時の若者は凄い!】

 2023年ラグビーワールドカップ・フランス大会をテレビで見ながら、「日本も強くなったな!」とつくづく思いました。特に1995年の南アフリカ大会で、ニュージーランドに17―145という歴史的大差で敗れた「あの弱小チーム」が、2015年のイギリス大会で、今回連覇を果たした強豪南アフリカを34―32で破った試合は忘れられません。今でもYouTubeで時々勇気をもらっています。特に最後のトライの瞬間は、スタジアム全体が揺れるほどの歴史的ジャイアントキリングで、何度観ても目頭が熱くなります。《凄い》  また最近は、体格的に劣る日本人がうまく出来る筈がないと思われていたスポーツでも日本人の活躍が目立ちます。例えば、9月のバスケットボール・ワールドカップ2023で、フィンランドやベネズエラを破り、堂々とオリンピック・フランス大会の出場権を獲得しています。《凄い》  サッカーも同じですね。日本代表は今年に入り負け知らずで、9月には嘗て世界ランキング1位のドイツを4―1と完膚なきまでに撃破(ワールドカップに続き)し、世界を騒然とさせました。私が子供のころには想像すらできなかった光景です。《凄い》  そういえば、野球では、ワールド・ベースボール・クラシックで、日本はアメリカを決勝で破り堂々世界一位になっています。《凄い》  その後メジャー・リーグでも、大谷翔平投手・選手がホームラン王、満票でのMVPに選出されました。そして、12月10日には10年総額7億ドル(1015億円)でロサンゼルス・ドジャースと契約。MLB史上最高額とのことですが、凄すぎます。《凄すぎ》  「今時の若い奴らは」を年配者が繰り返している時代は去り、「昔の若い奴らは」と逆に若者から蔑まれる時代になっているのかも知れませんね。日本の若者の底力を実感します。

【子供の学力は上昇!?】

 「日本はもう駄目だ」が声高に叫ばれる中、経済協力開発機構(OECD)が12月5日に発表した世界81か国・地域の15歳69万人を対象に実施した2022年の学習到達度調査(PISA)の結果で、日本は数学や科学の分野で上位に返り咲きました。数学的応用力は5位(前回6位)、科学的応用力は2位(同5位)で、前回15位に沈んだ読解力は3位に急上昇しました。素晴らしいですね。文科省は、この好結果は学校現場の工夫や授業改善の成果としつつも、同時に他の加盟国のコロナ禍に因る長期休校がもたらしたラッキーな結果の可能性も指摘しています。別の専門家も休校期間が短く低学力層の学力低下を回避できたことが好結果を生んだもので、次回以降の調査などでの長期的追跡の必要性を説いています。何か歯切れが悪いですが…《凄い》

【若者を取り巻く環境の変化】

 しかし、この若者たちの暮らす日本は今、大変な状況に陥ろうとしています。あらゆる分野で日本の国際的地位が急速に低下し、円安もありますが、GDPでは2023年にはドイツに抜かれ4位になると予想されています。また、2012年にアメリカとは大差のなかった一人当たりGDPも、この10年で日本はアメリカの半分以下になり、G7の中では3位から最下位に転落しました。何と、台湾や韓国にも抜かれつつあります。
 こんな中でも、国会は相変わらず大局を論議せず、また、メディアは視聴者受けする話題をセンセーショナルに報道するのみで、なかなか本題には触れないように感じます。もうそれ程時間は残っていないのですが大丈夫でしょうか。

【山王学院の目指すもの】

 山王学院は「入塾試験」を行います。それは単に優秀な生徒を優遇しようとするものではなく、一定の基準を満たした生徒に、より高いレベルの指導をしたいと考えているからです。40年以上前、首都圏で小学6年生が高校入試問題をいとも簡単に解答する姿を見て「こんな子たちと戦っていたのか」と愕然としました。生きている時代が違うような錯覚にもとらわれました。しかし暫くすると、環境が整えば誰でも出来ることにも気づきました。いわゆる天井に蓋をしない環境が、楽に天井を突き抜ける機会を生徒に与えることを知ったのです。山王学院は塾生の皆さんにそのような機会と環境を与えることが出来ればと考えています。 

代表 合田 威里

元大学講師(国際関係)
筑波大学大学院修了

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